彼って、
とてもかっこよくて、とても恐いひと!
彼って、
とても恐いけど、かっこよいひと!


山本武も獄寺隼人も、女性からの評判は同じようなものだ。
かっこいいけれど、こわいひと。
山本は、甘い笑顔と優しい言葉に、そして爽やかな容姿に惹かれてくる女性が多いもののー
けれど本質を見てしまうと、そして彼のクールさに気がついてしまうと、恐ろしいひと!と、いう。
獄寺は、見目も全て恐いが、容姿は抜群。
何者も近づけさせず、話もできず、だから ただただ かっこよいひと!と、いう。


さて、沢田綱吉の場合だが、
何も、言うところがない…、取り立てて、素敵だと思うところが分からずにいる。

”彼のことは何も分からない。ダメツナって、呼び名はわかるけれど”

何も分からなくて、結構なことだ。
実は彼が、彼女達を魅了してやまない二人の男を虜にさせていると、夢中にさせていると知ったら、大変なことだ。


彼の唇は、まるで麻薬のよう










熱 い の が 好 き










獄寺の膝の上で、ちゅ、と、彼の頬にキスをする。
山本が来るということで、不機嫌をおもむろに表情に出した獄寺を宥める為の手段だった。
獄寺は時々(というか、いつも)勘違いしそうになるが、別にツナは、自分の恋人というわけではない。

『自分の部下に、もっと愛情を示せ』

特に態度で。との、リボーンの言葉のせいだった。
逆らえば、何が待っているか分からない、リボーンの言葉。
しかし、ツナの愛情ー、スキンシップはなかなかもって、過激なものであった。
最初こそ、リボーンに脅されて、仕方なく照れながらしていたようだが、今はサラリとやってのける。
自分から胸に飛び込んでいったかと思えば、頬にキス。座る時は、いつも二人のどちらかの膝の上ーもしくは、腕の中。

同性で、こんな友情の示し方はあまり日本ではしないと思うが、それは黙っていた。

そして時折、彼等には唇も許された。
「お互いには内緒にしとけ」とのリボーンからの言葉どおり、互いには内緒だったが。


「10代目ー…」
「んー?あ、もう5時。そろそろ来るかな、飲み物持ってこないと」
「口ー…」
「口?」
「唇にしても」

「駄目に決まってんだろ」


スマートに扉を開けて、入ってきたのは山本だ。
ツナは獄寺の膝から離れると、山本を出迎えた。

「山本!飲み物取ってくる。何がいい?」
「ん、あるから大丈夫。ありがとな」

500mlのペットボトルを取り出すと、ツナに見せる。
笑いながら「飲む?」と、ツナの唇に軽く押し当てると、獄寺は今にもブチ切れそうな表情をした。
山本はそれすらも、面白そうに笑っている。

「はは、なんだよ獄寺、こえーな」
「うるせー!テメーもう帰れ!」
「今きたばっか。な、ツナ」


山本はストンと自然に座ると、腕の中にツナを閉じ込めた。
ぎくしゃくと緊張しだす獄寺と違い、山本はごく当たり前のようにする。
獄寺はイライラと首の後ろの当たりを掻くと、煙草を取り出した。
ついさっきまでは自分の膝の上に居たのに!
頬にキスまでしてくれて、堪らず唇を奪おうとしたら、山本が邪魔をしてくれたのだ。
不機嫌になるのも、無理はなかった。

しかし、そんなことはお構いなしに、山本はツナをくるりと反転させると、頬を近づけた。
「いつもの」と囁くと、ツナはいとも簡単に、彼にキスを与える。
ちゅっと、柔らかい唇が触れたかと思うと、ツナはすぐに山本の頬を離れた。

「今日は口にはしてくんねーの?」

優しい眼差しの山本とは正反対に、獄寺はカチカチとライターを鳴らし、
付けようとしていた煙草を、ポロリと落とした。

「な、テメー何言ってやがる…っ」
「ご、獄寺君」

落ちた煙草を拾おうと、山本の腕の中から脱出しようとしたが、
それは山本が許さなかった。
ぐっと力を込めると、ポンポンと背中を撫でた。

「−っ、10代目、こいつに唇、許してたんスか!?」
「超許してたぜ?なんつーか、ツナの方からねだってたくらい」
「テメーには聞いてねぇ!」
「カッカするなって。ツナ困ってんだろ?」

ハっとしてツナに目を向ければ、少し戸惑った瞳をしていた。

「す、すいません…!でもオレ…、まさか山本にもしてるとは思わなくて」
「ー…待て。も、って何だ?」
「あ?」
「ツナ、獄寺にもしてたのかよ?」
「ったりめーだろうが!」

答えたのは、視線を向けたツナではなく獄寺だった。
隙あらばツナを自分の腕に取り戻そうとするが、山本は一向に隙を見せずに、
ツナを捕まえている。


「ふーん…。な、ツナ。いつもみたいに熱いキス、してくんねーの?」
「や、山本ー…っ!」

熱いキスなんてしたっけ、と、頭をグルグルさせているツナを抱き寄せ、柔らかな髪に鼻を埋めた。
獄寺に向かって、不敵な笑みを浮かべると、獄寺はいよいよ我慢できなくなったように、勢いよく立ち上がった。

「…、っテメーふざけてんじゃねぇぞコラ!」
「ふざけてねーよ」

サラリと言葉を返され、獄寺は、そうっとツナに視線を向けた。
山本の腕に収まっている彼を見て、今すぐに力ずくで離れさせたくなる。
ぐっと力を入れ、自分を抑えて言葉を吐いた。

「…10代目。オレと山本、どっちと多く、してるんスか?」
「え、ええ?…数えたことないから分からないけど…」
「じゃ、どっちとするのがいい?」

軽く耳元に口付けながら、山本が問いかけた。

「や、どっちって…」

ツナにしてみれば、友情の意味で、リボーンに言われたままにスキンシップをしているだけであって、
どちらがどうだとかは、比べたことなんてなかったのだ。
聞かれても、どちらか一方を答えられるはずもない。

眉を寄せ、少し首を傾げる。


「…ごめん。でもほんと、考えたことないからわかんない」
「今、考えたらどっち?」
「どっちも」

即答だった。
ツナが困ったように笑うと、二人はそれ以上、何も言えなくなってしまった。

今日も彼は、無意識に媚薬を振り撒くのだ。










なんというかもう本気ですいませんでした。
ここまで纏まりがない文になろう とは…!

BGMはモンローの映画で有名な「I wanna be loved bay you」です。
林檎版をずっと聞いてました。

あと大塚愛の曲がBGMでした。



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