と関わるにあたって。 俺の中では、いつからか、ルールが決まっていた。
其の一。
軽々しく、冗談でも好きだとか言わないこと。
ー俺が言ったら、アイツも間違いなく言う。
無論、友達としてってやつだ。
…残酷。
其のニ。
何ごとも適ほどに。
ーあまり構いすぎると、ウザイ域で、構わなすぎると、距離は離れていく。
…難しいものだ。
其の三。
この報われない恋を、不幸だとか思ってはいけない。
俺はの、一番近い位置にいるんだから。
だから、幸せと思わなければならない。
この、狂わんばかりの想いは、胸にしまって、封印しなければならない。
何故って、だってそうだろう?
のこと。
愛しているけれど、友達なんだから。
カリカリカリカリ。
シャーペンの音が、室内に響く。 俺の家で、と二人で勉強をしていた。
…勉強。珍しすぎる。
高校生の俺とは、幼馴染だ。
家は隣で、気軽に行き来できる。
その上、クラスも一緒なのだから、一日の大半は、二人で過ごしていると言っても過言ではないだろう。
自分で言うのもなんだけど、仲が、良いと思う。
だけど俺の方は、仲が良い程度のものじゃ足りない。 つまりアレだ。
に片思い。
「あー、わっかんないなー。和谷、分かる?」
「バッカ、俺がそんなに頭いいと思うか?」
「…ごめん」
「…否定しろよ」
「ごめん!」
顔を見合わせて、笑う。
何気ないやり取りも、とだと、もの凄く楽しく感じる。
…もそう感じてくれているのかな。
彼女は自分で持ってきたお菓子を適当につまみながら、それでもまだ教科書を見ている。
あーこいつ、集中しちゃうと俺の事、目に入らなくなるんだよな。なんて思っていると、は教科書を閉じた。
ギブアップ。
「和谷ー疲れた」
「俺も。眠くなるよなー教科書見てると。明日のテストは捨てるか」
「いつも捨ててる」
「言えてる」
また、笑い出す。
この雰囲気はとても良い。のだけど。 困った事が一つ。
…こいつ、ホントに困る。
疲れたからと言って、自分の肩に凭れ掛かるの頭。
これをどうにかして欲しい。
「、重たい」
「うん、眠い…」
何がうん、なのか。 勘弁してくれ。
重いが、問題はそんなところではなくて。
「…、眠いんなら、自分家帰って寝ろよ」
「…うーん」
返事をするのもダルそうだ。
だが、しかし、こういう状況は避けたい。 何とか自分の肩を揺すって、を起こそうとする。
「ホラ、!起きろっつーの!」
「テスト、何とかなる」
「なるか!」
「捨てるんでしょ〜…?」
「テスト勉だけじゃなくて、課題もあんだろ!ホラ起きろ!」
「明日朝、学校行ってからでいいって」
「……」
もう起こす気力も失せた。
どうせコイツのことだから、明日の朝、俺に泣きついてくるに違いない。
そう思った俺は、自分だけでも少しやっておくか、と、教科書を片手に、シャーペンを動かした。
ボキ。
芯が折れる。
ボキ。
また、 ボキ。
何回目。
まだまだ、めげるものかとシャーペンを動かす。
すると、字を間違えた。
ゴシゴシ、ゴシ。
ベリっ。
消しゴムをかければ、今度はノートが破れた。
くっそ…
上手くいかない。勉強など。
集中できない。勉強など。
の頭が、重い所為で。
ーもうコイツ、ほんと密着すんな…。
意識してしまう。
|