俺が心臓をドキドキとさせていることなど知らずに、はうっすらと目を開いた。
そして、ポンと俺の肩を叩いて。

「和谷も寝ていいよ」

と。言った。
あんぐりと口を開けたまま。
言葉も出ない。
もたれろ、というのだろうか、この少女。


勘弁しろ…。もういい、俺は勉強をする。


が何か、言ったことなど、もう脳から追い出すのだ。
大体、無茶な事だ。そんな、好きな奴の肩で寝ろとは。
とにかく勉強を、と、思うが。
どうにもこうにも。

ー重い、の頭。

、ベッドでいいから寝てろ」

「うん…いい。俺も勉強するから」

「…そうか?」

ゴシゴシと目を擦り、シャーペンを握るが、5分も経たない内に、はカクン、カクンと頭を揺らし始めた。
おいおい…言ったそばから寝てる…。
どうやらもう限界らしい。

「あー…ホラ、やっぱお前、寝てろ!」

「いい…」

「…じゃあ1時間交替にしようぜ。12時まで、俺が課題やるから、お前は寝てろ。12時から1時間、今度は俺が寝て、お前が課題の続き。OK?」

「…オッケ」

やっとOKを出すと、はのろのろと和谷のベッドに向かう。もぞ、と布団にもぐりこむと、すぐに寝息をたてた。

俺は早速、課題に取り掛かった。
問題を読むと、頭を抱え、しかし何とか解いていく。
の寝顔に、良からぬ妄想が頭を埋め尽くしそうになったが、それでも頑張った。
そうして。

30分。
1時間。



経過した。



精一杯伸びをして、を起こそうとベッドへ向かう。

ーお前の番だぞ」

「・・・・・・」

「おい、


肩を揺さぶると、眉を顰めて寝返りを打った。

こいつ…

本気で、寝ている。
どうしようか。起こそうか。
叩き起こすか!
そう決めて、ペチッと軽く頬を叩く。
すると、気のせいだか何なんだか、の顔がショボンとしたような、そんな風に見えた。
何だか悪い事をしたような気になって、手を引っ込めた。

!おきろ!!」

もう一度、大声で呼んでみるが、これも無駄だった。
ああ、そうだった。
幼馴染の俺は知っている。
は非常に起きにくい、という事を。

これ以上は無駄かな…

それに。
妙に気持ち良さそうに寝ているものだから、起こすのもなぁ、と思った。

…あーあ、俺って優しいな…。

優しいというか、甘いと思った。に。

仕方ない、と机に向かう。
だが5分もたたない内に、数式の連続に、頭がクラクラしてきた。
…ネムタイ。

寝てはいけない。やらなければ。
でも、1分…。
そう思い、机に少しうつ伏せになる。

これで俺も、眠りの世界へ旅立った。















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