次の日。
今日は和谷君が私の家に遊びに来ていた。
だけど…
「もうやだ〜和谷ったら〜」
…明日美ちゃんも一緒に。
いや、モチロン明日美ちゃんは可愛いし、大好きだけど。
大切な、友達だけど。
…今日は妙に、和谷君と仲がいい。
仲がいいっていうか、度を越してる気がして堪らない。
な、何なんだろう…?
でも嫉妬心剥き出しにするのは嫌だったし、私は無理して明るく振舞っていた。
それに明日美ちゃんとは前々から仲、良かったし。
私の気のせいだよね?
モヤモヤしていると、また明日美ちゃんが和谷君に触れる。
し、しかも傍から見てると恋人同士みたいなスキンシップ。
あ!しかも何!?
和谷君、何か嬉しそうじゃない!?
…駄目だ…。
堪えらんない…。
「し…下から飲み物取ってくるね」
明るく振舞う事にも疲れた私は、とにかく部屋から出ようと思って二人に告げた。
オレンジジュースをコップに注ぎながら溜め息を吐く。
色々考えていると、コップからジュースが溢れてしまいになって、私は慌ててジュースのパックを縦にした。
1つだけ、溢れんばかりの量のグラスが出来上がってしまった。
私はそのグラスをグイっと自分の口に運ぶと、一気に飲み干した。
「よし!大丈夫!!」
大丈夫、勘違いよ。
和谷君と明日美ちゃんはそんなんじゃないんだから。
自分にそう言い聞かせると、お盆に3つのグラスを乗っけて、階段を上った。
階段を上りながらも、私は心の中で唱える。
大丈夫よ。
大丈夫。
大丈…
ガチャ…
ドアを開けて一番に飛び込んできたのは、明日美ちゃんと和谷君が楽しそうにじゃれあっている場面だった。
大丈夫じゃ ない。
一瞬、固まってしまった。
「………」
「?どうしたの、ちゃん」
私がお盆を持ったまま固まっているから、明日美ちゃんが不審に思って声を掛けてきた。
「な、何でもない…」
何でもなくないが、ヘラっと笑顔を作ってみせる。
明日美ちゃんの明るい声が頭に響いた。
「も〜和谷ったらね…」
「………」
結局この日、私は終始、心の中でヤキモチを妬くハメになった。
「…ごめん…さん・・・」
「…いいよ、気にしてないから」
嘘でしょう?
今日は和谷君とデートだった。
さっきまでは凄く楽しい時間を過ごしてたのに。
だけどさっき掛かってきた1本の電話。
これでデートの中止は簡単に決まってしまった。
明日美ちゃんからの、電話。
この間の不安を、増徴させるような出来事。
「後で電話するから」
そう言うと、和谷君はさっさと駆け出して行ってしまった。
「………」
今日、楽しみにしてたのに。
楽しみにしていた分、悲しみも大きい。
今日は遅くまで、和谷君と一緒に居られると、楽しみにしていたのに。
それなのに。
和谷君はすんなりと明日美ちゃんの元へ行ってしまった。
どうしようもなく、悲しかった。
私の事…飽きたのかな…
寂しい想いは、どんどんマイナス方向に進んで行ってしまう。
和谷君に限って、と思ってみても、最近の和谷君の態度が、信じる心の邪魔をした。
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