ゲーム3日目。
今日は、何を企んでいるのだろう。
司令部へ行き、ロイの仕事部屋に入ると、そこには余裕の笑みを浮かべているロイの姿があった。
ああ、こいつは絶対に何か、企んでいる。
そう直感が告げた。
だが、ロイがどんな事をしても、絶対に好きだなんて言ってやらないと、固く胸に誓った。
「鋼の」
「…え、あ…何?」
今まで書類を眺めていたロイが、突然口を開いたものだから、少し驚いてしまった。
ロイはスっと、テーブルにある紙を指差した。
「そこの書類を取ってくれないか?」
ロイの手の方向を見ると、確かにテーブルの上に書類が乗っている。
仕方ねぇな、とその場を動き、自分の机の前に寄りかかっているロイの方に書類を持っていく。
「…は…いっ!!?」
渡した瞬間、腕を掴まれた。
ぎょっとして、ロイを見た頃にはもう遅い。
その身体は既に、ロイの胸の中にあった。
バラバラと、書類が床へと落ちていく。
「ちょ、な…っ!仕事!…っん…」
ちゅ、と耳元に口付けられ、変な声が出た。
「昨日、折角君から誘ってくれたのに邪魔が入ってしまったからね」
「違…っ」
エドの顔が真っ赤になる。
昨日、作戦の為に、軽はずみにやった事。
あれでも一応、自分が誘った事になっているのだ。
<あんな事、しなきゃ良かった…!>
馬鹿だった。そんな事を思っていると、ロイの手が服の止め具を外しにかかる。
またもやぎょっとして、抗議の声を上げようと顔を上げた瞬間、唇を塞がれた。
「…っん…」
このままだと、ロイのペースで進んでしまう。
勝手に時を、過ごしてしまう。
好きだと言わざるを得ない状況を、作り出されてしまう可能性がある。
それは非常に、まずい。
「…っやめ!」
カチャ、とベルトを外す金属音。
これはいよいよマズイと、ロイの胸を押し返すことに必死になった。
しかし急にベルトからロイの手が離れ、その胸に寄せていた手を取られた。
また、唇を奪われる。
「〜っんん…っ!?…は…っ…」
段々、頭が痺れてくる。
こうなってくると、マズイのだ。
ぎゅっとロイの服を握ると、ロイもエドの後頭部の辺りをそっと撫ぜた。
その手が段々下の方に這っていくが、ボヤリとした頭では、特に危機感を覚えなかった。
しかし急所に触れたその時に、ようやくハっとした。
「ば…っ!仕事中だろ!」
どこ触ってんだ!と焦りながら文句を言うエドに、ロイはさっきより確実に、そこに触れた。
「あ…っ!ちょ、待て…ってば…っ」
いつの間にか服越しでなく、直に触れられる。
立っているのが辛くなって、ロイの首に手を回すと、ぎゅっと抱きついた。
ダランと緩んだベルトから服を出すと、そっと上半身に手を侵入させる。
指で突起に軽く触れると、エドの肩がピクっと上がった。
もう片方の手でも、エド自身を軽く扱く。
「…っは…っ大佐…!」
エドが更に強く、首に絡みつく。
ここで攻めたててしまえば、エドに好きと言わせる事が出来るかもしれない。
しかし「こんな場」でも言ってくれなかった事を考えると、そのショックは大きすぎる。
それに、この、腕。
ぎゅうぎゅうと、ロイにしがみついている。
もうこれだけで。
「好き」だなんて言わせなくても、良いかもしれない。
ぎゅっと、もう一度エドを強く抱くと、自分の首に絡み付いている腕を、一つ開放させた。
「…鋼の」
その腕を、自分自身へと導く。
エドが素直に、やんわりとロイのそれに触れる。
ロイも触れてやると、エドはぎゅっと目を瞑った。
段々、段々激しくしていくと、ロイに絡むエドの指先が、おろそかになった。
しかしそれでも、懸命に奉仕しようとしていた。
「…っも、大佐…!」
もう、聞かなくても、言わせなくても、良いのでは。
これだけ乱れてくれているのだから。
「好き」だなんて、エドの口から、今更聞かなくても。
違う、そうではない。
聞きたい。
いつだって、確認していたいのだ。
<…言わせたい。鋼のの口から、私を、好きだと>
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