ちゃんと再会出来たのはいいけれど、困った。
ちゃんは、和谷の友達だ。
それしか接点がない。
和谷の家に行くくらいしか、ちゃんには会えないと気づいた。
・・・どうする?
和谷に言うか。
ちゃんに会いたい、と。
・・・無理だ。
恥ずかしすぎる。
変なプライドが邪魔してしまうし、それに。
それに、和谷もちゃんの事を気に入っているようで、言いにくい。
どうする?
携帯番号だって、メールアドレスだって、すっかり聞くのを忘れていた。
自分が恨めしい。
あと会える可能性があると言ったら、あの駅。
あの最初会った駅で、待ち伏せするくらいしかー・・・
・・・馬鹿な。
そんなストーカーまがいの真似、出来るわけが・・・
翌日。
俺は馬鹿みたいに駅につっ立っていた。
勿論駅とは、ちゃんに会った駅を指す。
人ごみすぎて、この中で見つけられるのか、というくらい、人でごった返していた。
会えるんだろうか。
いや、無理だろう。
やっぱり無難に、和谷の家に頻繁に出入りした方が可能性は高い。
来て5分と立たない内に、俺ちゃんに会えるのを半分くらい、諦めていた。
だけど。
「・・・伊角さん?」
突然、視界の前に現れたのは、待ち焦がれていたちゃんだった。
ポカンと気の抜けたような顔をしていると、彼女は可愛らしく首を傾げた。
「あ、やっぱり!!偶然!また会いましたね」
「ちゃん?・・・ああ、偶然だね」
何が偶然なんだ、俺。
心の中で自分にツッコミたくなる。
ちっとも偶然じゃないクセに、と。
「何処か行くんですか?」
「あ、いや…うん。ちゃんは?」
流石に待ち伏せしていたとは言えない。
「これから友達と約束してるんです。上野まで行くんですけど・・・」
伊角さんは?と聞かれた。
ここで別れるのが嫌で、適当に、俺もそっちの方に行く、とか何とか言って、一緒に電車に乗った。
俺は一体、何処に行くつもりなんだ・・・
「和谷と仲いいんですよね、伊角さんって」
「ちゃんも、だろ?」
そう言うと、ちゃんは、へへ、と嬉しそうに笑う。
少しズキっとくる。
「・・・和谷、彼女いるのかな」
・・・なんだって?
伏せ目がちに聞かれ、心臓が止まりそうになった。
・・・こういう展開は、つまり。
ちゃんは和谷が好き、なのか?
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